ブレンドイメージコラム
 
　週末、Perfumeの三人が出演している番組を見ていると、実はデビューした年を最近まで間違って記憶していたという話しをしていました。そのことに気がついたのが、あーちゃんの妹さんだったようです。司会者の方は、でもその妹さんも間違っているかもよ？と突っ込んでいたのですが、あーちゃんが「いや、妹の記憶力はエグい。」と表現していて、プッと笑ってしまいました。妹さんは、いつ誰が何をして、どういうことが起こったのかを時系列に正確に覚えているというのです。
 
　その話しを聞いて、幼い頃のことを思い出しました。私は物心ついた2才ころから、誰がいつ何を話したのか、何をしたのかを全て忘れずに記憶していました。同じ話題にはすぐに気がつくし、以前と違うことを言った場合にもその矛盾を感じます。重箱の隅の隅まで把握していたので、とにかく世の中の、大人がいうことの矛盾に苛立ちを覚えることが多かったです。
　就職してからは、覚えておくべきことが格段に増えたことで、手帳に締切日などを記入しないと忘れてしまうことが増えました。それでも、誰がいつ何を言ったのかは全部覚えていました。
　この記憶力が衰えてきたのが40歳あたりから。自分が言ったことさえもすっかり忘れていることが増え、その現象は加速しながら今に至ります。これを一般的には「老化」と捉えますが、私からするととっても楽になった感じがします。全てを覚えていて、忘れることができない状況は辛いことが多く、やっとそこから解放された気分でいます。
 
「子供って、乾く前のセメントみたいなんですって。落としたものの形がそのまま跡になって残るんですよ。あなたは何を落とされたのでしょうか？」
　これは「ミステリという勿れ」の映画の中のセリフです。父親の居眠り運転が原因で、父親と３人の親戚が事故死したことを心の傷にしている少女に向けた言葉です。
 
　子供の頃に言われたことや、された行為は、そのままずっと心に残り続けます。でも私たちはこの社会で生きていかなくてはいけないので、その跡をうまく埋めて、溝がなかったかのように振る舞おうとします。しかし、その溝には気をつけなくてはいけないので、どこかに力が入るわけです。そして体は歪み、体質というものが出来上がるわけですね。そう考えると、体へのアプローチにプラスして、心の中を覗き込むことも必要となります。
 
　歳を重ねると、こういった無意識の「力み」を緩めることができるようになります。赤ちゃんの頃、私たちは柔らかくて、どんな型にも入れたし、でもじっとはしていられない為、一つの型にハマりっぱなしにはなりませんでした。人生を経て「こうあらねばならぬ」という力みがなくなった状態は、赤ちゃんのふわふわ感とちょっと似ているのかもしれません。
 
「あなたはまだ若いから、セメントは固まり切ってはいない。今きちんとケアをしておけば大丈夫」
と整くんは最後に少女に伝えます。
 
さらに、東洋医学的な解釈を付け足したい。
「固まってしまったセメントの跡は、今のあなたらしさを作っているの。たとえ、セメントが固まっても、その跡を忘れずにいて、そしていつか心の力を抜くことができれば、再びセメントは柔らかくなるんだよ」
 
 
自然界はゆっくりと陰が増えていき、私たちのエネルギーも外向きから内向きに変わってきています。暖かいお茶をいただきながら、ぜひ皆さまの内面へ意識を向けてみてください。
お茶を楽しむことで、心の力を抜くことができます。今月は、心が「ふわっと」する感じを楽しんでいただけたらと思い、ブレンドをいたしました。初めて使った素材「かや」の甘く優しい香りは、潜在意識とつながる効果があるように感じます。「香り」は、記憶を主る海馬を緩めてくれます。すっかり忘れていたことや、子供の頃の記憶をふっと思い出すことができるかもしれません。その記憶は、今のあなたらしさを作ってくれているもの。過去に傷ついた記憶も、大人になった今、改めて見渡してみると違った解釈ができるはず。それを繰り返してくことで、私たちはもう一度柔らかく、自由に、自分らしく、人生をさらに楽しんでいけるのだと思います。
 
「ミステリという勿れ」の好きなセリフを最後に
「人に会い、人を知りなさい。それは自分を知る旅だよ」
 
 
 ブレンド素材
 
・ウーロン茶
　オーガニック　
　宮崎県五ヶ瀬町産     　
 
・レモン皮
　自然栽培 
　宮崎県日南市産
 
・かや
　天然素材　　  
　宮崎県五ヶ瀬町産　　 　
 
・月桃　
　自然栽培　　  
　宮崎県日南市産