ブレンドイメージコラム
 
登山中心のアウトドアグッズ店のオーナーさんと出会いました。
お店が休みの日には、登山初心者にガイドしてくださるサービスがあるのですが、ガイド料は無料という人の良すぎるオーナーさん。
もうこれは、登山をやらないでどうするのだという出会いです。ということで、早速靴やウェアなど一揃えし、いよいよ来週山に癒されてこようと思っております。
 
まず決めなくてはいけないことが、初登山はどこにするのかです。　山を選ぶために、私が何に興味があることを聞かれたのですが、やはり一番は植物だなと。教科書でしか知らない植物が生息しているところをとにかくみたい！と伝えると、これから春を迎える山のことを詳しく教えてくださいました。
春のスタートを告げるのはまず「黄色」の花、福寿草。枯れ野の中に小さく美しい花が咲き乱れるそうです。そして次は「白」と「ピンク」。山桜の薄ピンクや白の花々が咲き始め、徐々に濃いピンクの花も開花を始めるというパターンは、毎年変わることがないそうです。
 
福寿草を調べてみました。江戸時代、春を一番に伝える花として「福告ぐ草（フクツグソウ）」という名前でよばれていたと。そして科目はキンポウゲ科。毒がある植物です。おなじキンポウゲ科に属するトリカブトは有名ですね。怪談で有名な小岩さんが飲まされた毒がトリカブトでした。ただ、中医学では薬としてこの毒を有効活用します。トリカブトの生薬名「附子(ブシ)」は、強い冷えを改善する効果があります。
 
福寿草はトリカブトほどではないにしろ小毒があるというのは、春の植物の特徴でもありますね。冬、活動を低下させた動物が、春を迎えて活動期に転換するとき、代謝を落としている間に溜め込まれたゴミを外に出すのを助けるのが毒(アク)をもつ春の植物。山菜が馴染み深いですね。
 
この春と小毒の関係は、私たちの魂の成長と同じだなと感じました。
私たちは螺旋階段を登るようにして魂を成長させていきます。ただ、緩やかな坂道もあれば、一段の高さが大きい階段が続くこともあります。大きなステップに進む時に訪れるのが、いわゆる試練。辛い経験です。穏やかに過ごしてきた間に溜め込んだものをデトックスして執着を手放し、次のサイクルのスタートを切るわけです。辛い試練が春の小毒だと考えれば、その次には美しい花が咲き乱れる季節がやってくるのです。そして太陽の光を浴びて自由に活動できる「陽」のステージに進むことができます。
 
植物が動物以上に優れている点の一つが、自分の花を咲かせるタイミングをキャッチする力です。まるで誰かに合図されたかのように一斉に同じ種類の植物が芽を出し、そして花を咲かせるシステムは本当に素晴らしいと思います。
植物学者の稲垣栄洋氏の著書「花は自分を誰ともくらべない」の中に書かれた言葉。
花にさまざまな種類があるように、私たち人間にもさまざまな顔があり、個性がある。
私たち人間は、花の美しさを知っている。　花の色や形は、いろいろあることが美しいと知っている。
それなのに私たちは、ときどき「たくさんあること」の素晴らしさを忘れてしまうのは、どうしてだろう。
「違うこと」の素晴らしさを見失ってしまうのは、どうしてだろう。
くらべたり、優劣をつけたくなってしまうのは、どうしてだろう。
花は自分を誰ともくらべない。　そして、自分だけの花を咲かせる。
花の数だけ咲き方がある。　そして、花の数だけ、物語があるのだ。
 
私たちが忘れてしまった大事なことを、植物たちはずっと守り続けています。そのエネルギーをいただき、私たちの本能を活性化していきたいと思っています。
 
今月のブレンドに使った杜仲は、生命力を担う「腎」と、バランスを保つ「肝」にアプローチしてくれます。カモミールの小さくて黄色い花は、春を告げる花のイメージ。これからさまざまな花が咲き誇る、スタートを切る色と香りとして使いました。（カモミールには毒はありませんのでご安心くださいね。）
 
今月のお茶も、心を込めてブレンドをいたしました。どうぞ皆様の心身が健やかにいられますよう、願っております。
 
 
 ブレンド素材
・在来烏龍茶
　オーガニック 
　宮崎県五ヶ瀬町産 
 
・杜仲
　自然栽培
　宮崎県綾町産 
 
・カモミール
　自然栽培
　宮崎県延岡市産